この記録はシガちゃんとメガネが作ったクリスタル鋲を使ったリストバンド＆ベルトが出来上がるまでを綴った物作記録です。
テキストはシガちゃんとの開発を進めたメガネが起こしました。
恐らく、アンテナの高いシガちゃんファンはシガちゃんが付けている、青い鋲のリストバンド、または青い鋲のベルトは何なんだと思っている人もいるかもしれません。
その青い鋲のリストバンドとベルトの開発記録です。
完成間近で記録にしようと思ったので、途中途中思い出しながらとなり、脆弱な脳が故、曖昧なところもあります。
では、記録をどうぞ。

 

 

≪フェーズ1：スタート地点≫

遡る事、今から恐らく３～４年ぐらい前のとある日。
AFP X WHEVのコラボアイテムの打ち合わせの最後にシガちゃんからの軽い提案。

シガちゃん
「クリアの鋲作りたいけど、●●(人名：WHEV雑務担当)作ってくれへんかな？
こんな感じでやったら作れると思うねんけど…」

※３～４年経っても手元に残っていたメモ

メガネ
「う～ん。無理じゃないですかね・・・。」

その時はメガネ自身が作る事になるとは知らず、他人事の様な回答。
こんなサッとした感じでクリア鋲の会話で終了。

クリア鋲の話はこの時点では終わっているようだが、プロジェクトとして静かに始まっていた。

 

≪フェーズ2：レジンとの出会い≫

それから１年ぐらいが経ったある日、メガネは手芸屋さんに買い物に行った際に
店内を物色していると、１冊の本に目が留まり、何の気なくその本を開いた。

レジン液をUVで固めアクセサリーを作るHOW TO本。

パラパラめくるうちに脳内で『ピーンッ！』。
シガちゃんとのクリア鋲の会話。
点と点が繋がった。
『シガちゃんのクリア鋲出来そう！』と思い立った。

試作スタート。

まずはググって一番簡単そうな、100均で販売しているオユマルとUVレジン液で挑戦。
とりあえず手元にあったピラミッドで試した。

一番簡易な手段をとったのと貧乏性が炸裂し、あーでもないこーでもないとかなり苦戦したが不細工なピラミッドが完成。

※ 左から２つ目が不細工なピラミッド
既に着用して数年経っている為、角が取れて不細工さが減少

自身のベルトに装着し強度テストをしながら次の試作へ進む。

不細工鋲からの脱却をするべく、ネクストステップへ。

 

≪フェーズ3：1stリストバンドサンプルへの道≫

ここから更に長い調査が始まるがマジで紆余曲折を繰り返すので１つ１つ書くのは長くなりすぎるのでやめておきます。
この時点でトラブルが多発＆一向に目途が見えない沼にハマり、この工程でメガネのガラスのハートはこの時点で砕かれた。

それから月日が流れ、手芸屋さんを物色していると、丁度良さそうなピラミッドの型をゲット。

『これは！』と思い、試すと難なく良い感じにピラミッドの鋲が作れた。
ネジはコーナンで手に入る簡易なものを使用。

更にネジまでクリアにしたく、全てクリアで作成してみた。
良い感じに1st鋲サンプルが完成した。

その１st鋲をシガちゃんに見せると『いいやん！ちょっと作ってみるわ！』と言ってもらえたので、鋲を託した。
数日で遂に１stリストバンドサンプルが完成した。

1stサンプルだけにクオリティはいまいちだが、完成した事が嬉しかった。
そして、次の試作への積みあがった課題に燃える。

完全に折れていた心が修復された。

 

≪フェーズ4：2ndリストバンドサンプルへの道≫

1stリストバンドサンプルのリストバンドの課題、これらを解決すべく鋲の開発を再スタート。

ここから新技術のシリコン液を使った型の作成を導入。

1stの課題を改善しつつ１ランクアップな鋲が出来上がった。

ただ、サンプルで作った型が１発ずつしか作れないもので、2ndリストバンドサンプル用にトータル200発ぐらいのクリア鋲を制作したので、ここでも滅茶滅茶時間を要した。
１日に20発ぐらいしか作れなかった。

手持ちに青の革があったので、この革と出来上がった鋲をシガちゃんに託した。
そして2ndリストバンドサンプルが出来上がった。

リストバンドの完成イメージが見えてきた。

このリストバンドが出来てから、もう１ランクアップ鋲を上げるべく、メガネの悪い癖が生産過程に加わった。
１発ずつ着色する事でマーブル感を出し、DIY感を強くしようというアホな考えを思い付く。
それを約５分かけて硬化させる。
ピラミッドは、底面＋３面の４面を紙やすりで研磨。
その鋲に透明感を更にアップさせる為のクリア塗装を施す。

出来上がた2ndリストバンドサンプルをシガちゃん、メガネで着用し、強度テストを開始。

 

≪フェーズ5：ベルトの開発≫

もう１つの目的、クリア鋲のベルト。
1stベルトサンプルに向けて鋲の開発が始まった。

クリア鋲150発作成しシガちゃんに一旦預けずつ、メガネは鋲の型を１発ずつではなく、まとめて6発作るように型を作り直す。

作り直した型で、メガネはクリア鋲の生産に没頭する。
ここも内容を書くと長くなる為、省くがここでも数々の頭を悩ます問題が多発した為、時間を費やした。

そんな中、シガちゃんは預けていたクリア鋲で、鋲ベルをフライング作成。

ある日シガちゃんと会うとこっそり付けている。
メガネはそれを発見すると、『おぉー出来てる!!見せて下さい!!めっちゃ良いですね!!』とテンションが上がる。

今まで見た事ない物が出来たと思っていたが、色々調査しても同じようなものは無さそう。
シガちゃんのフライング作成と新しい物を創れているという優越感で、もっと拘った細部にしたくなってきた。

 

≪フェーズ6： 2ndベルトサンプルへの道≫

シガちゃんが作った1stベルトサンプル。

それを経て、2ndサンプルへの道が始まった。

1stサンプルのシガちゃんフライング鋲ベルトは手持ちであった、薄っぺらい合皮で作られていた。それを何層かに合わせ手縫いしてある。強度がそこまでない物だった。

強度を持たせるため、ベルト用の革の調査を進める。
ACTジュンペイ氏の協力もあり、無事革をゲット。

その革を裁断し、ベルト用に作った200発ぐらいのクリスタル鋲とシガちゃんに託した。
そして、2ndベルトサンプルが完成した。

2ndサンプルが完成し、シガちゃんとの打ち合わせ。
今回のプロジェクトが進むにつれ、世の中にない仕様の物を作りたいという意識が強くなっている。
2ndサンプルは勿論良いのだが、独自性を持たせたかった。
シガちゃんが作った1stサンプルのベルトは、シガちゃんが付けたい仕様に落とし込まれている。
それがヒントだった。
1stサンプルのベルトの仕様とリストバンドの仕様を組み合わせた形にしようと決まった。

紹介できる写真が無いが2ndベルトサンプルを作った時に実は2連のクリスタル鋲ベルトもシガちゃんに作成を依頼して、完成していた。
2連ベルトも生産したかったが、生産コスト＆販売価格がべらぼうに高くなる為、今回は見送った。
果たして実現する日は来るのだろうか。

 

≪フェーズ7： 3ndベルトサンプルへの道≫

3rdベルトサンプルの仕様も決まったところで、再度革の調達がスタート。

3rdサンプルの仕様は2ndサンプルとは違い、革を2枚重ねにする為、革の厚さが重要だった。

革の調達に成功するが、ここでも色んな革を見に色んなお店に行った。
革も厚さ、質、強度とコロナ禍もあり、良い物に出会うのは時間が掛かった。

※左から順に試した結果、リストバンドは右から２番目、ベルトは一番右の革を採用した。

一旦、調達した革で鋲無しの3rdベルトサンプルの見本を作成し、ビジュアルと強度をチェック。

ビジュアル＆強度はクリア。

鋲もまた200発作成し、革と鋲をシガちゃんに託し、完成した。

 

≪フェーズ8：ネームプレート≫

サンプルを重ねていくにつれてメガネがどうしようと悩んでいた細部がある。
両ブランドの名前をどう入れるかだ。

なんとなくこの時点で『クリスタル鋲』と呼ぶのは自分の中で決まっていた。
クリスタルという名前ならネームプレートもレジンで作成しようと思い立っていた。

またまた製作が難しい方向へ拘ってしまった。

デザインが決まった。

メインデザインはPUNKのアイコンとしてよく使われる剃刀。
メガネがこのデザインを思付いたのは、シガちゃんがいつも首に付けてあるシルバーの剃刀から。
そんなよくある剃刀のデザインが、手首に付いていたらどうなんだと考えた。
それを思いついたのは2020年8月9月。コロナ禍の真っ只中。
生きにくい社会。
剃刀という死へのイメージ。
レジンで作ったクリスタルの何も切れない剃刀が手首でゆらゆら揺れる。
社会と人間の関りへのアンチテーゼと捉え、メガネは剃刀デザインを採用した。

しかし、この剃刀を作ろうとする過程でまた時間が掛かるのだ。

DIYで原型を作ろうとしたが上手くいかず、レーザーカッターを借りられる工房を発見し、色々相談しながら原型が完成した。

その原型を基に型を起こし、ネームプレートの1stサンプルが完成。

※左上、右上、左下は、DIYで原型を作ろうとして失敗した残骸。そして、右下はネームプレートの1stサンプル。

そこから色々進化し、更なるサンプルが完成。
厚さが2～3mmの物の為、強度が心配でリストバンドに付けてテストする。
ある程度の強度が確認出来た。

シガちゃんに見せ、「良いやん!! 」って一言をもらっただけで良い物が出来たと思った。

ネームプレートを付ける案は採用。

 

≪フェーズ9：パッケージング≫

ここまで拘ってくるとメガネの中では高級ブランドがやっているぐらいの製品になる必要があった。

それは自分の既成概念に無い物を作り出している感覚が芽生えたから。

リストバンド、ベルトを入れる物にもDIY感があるもので拘りたかった。

まずはリストバンド、ベルトを入れるチェックの寸切袋。

カチッとし過ぎない為、切りっぱなしの布を縫い、シガちゃんにブランド名を注入してもらった。

箱は、クリスタル鋲にちなんでクリアボックス。
AFP x WHEVを表す為のデザインを新しくおこし、ステンシルした。

緩衝材として、AFPのスローガンを印刷した。
それがゴミの様にくしゃくしゃで入っている事迄がデザイン。
印刷する紙をシガちゃんに相談したところ、「捨ててある様な古めかしい紙がいいな！」との事。
確かに自分たちが作る物は、資源問題の事も頭によぎる。
ただ、捨ててある紙が製品に入っているというのはどうしても良しと出来なかった。
古本屋に行ってみると、100円セールで『HOW WE LIVE』という洋書があった。
誰も必要としない捨てられたも同然の本。
紙の雰囲気も◎。

 

≪フェーズ10：完成≫

長い歳月を経て、やっとリリース出来るところまで達した。
名称は、DIYクリスタル鋲リストバンド、DIYクリスタル鋲ベルト。
自分としてはこの商品にDIYと付く事が良く似合う。

 

≪今後≫

このクリスタル鋲の開発により、今後やりたい事も何点かある。
ただ、開発にこんなに時間を要したのは、貧乏性な自分の悪い点が炸裂してしまったせいだ。
そうはいっても時間はかかると思うので、首を長くして待ってもらえると嬉しいです。

シガちゃんとの商品開発は面白い。
原案のシガちゃんに、それを形にして出すだけではなく、どう肉付けして出せるかがWHEVメガネの役割かと思っている。
AFPの後に『x WHEV』の名前を付けれるか。
そうでないとAFP x WHEVのコラボは成り立たないと思いたい。

兎に角、ここまで制作期間が掛かってしまったが、それに付き合ってもらったシガちゃんに感謝。

SEE YOU NEXT PROJECT!!
メガネ